Webページを閲覧するためのソフトウェアがウェブブラウザである。世の中には様々なブラウザが存在する。それぞれ特徴があり、本来は自分が使う用途によって適切なものを選定することが望ましい。しかし、ブラウザ使用率を見てもわかるように、大多数の人はGoogle Chromeか、Microsoft Edgeを使用している。
今回はWindowsで使用することを想定し、Chrome、EdgeにFirefoxとVivaldiの二つを加え、合計四つのブラウザの使用感、適正用途についてまとめてみようと思う。
Google Chrome
みんな大好きGoogle Chromeは最も使用率の高いブラウザで、当然Googleからリリースされている。ブラウザの中でトップシェアを誇る。一番の特徴はGoogleアカウントを使用する場合に最適化されていることで、ホーム画面のボタンからGoogleの各種ウェブアプリケーションにすぐにアクセスできるようになっている。
また、ブックマークや拡張機能の同期をとる際のアカウントもGoogleアカウントひとつで管理ができるというのも非常にシンプルで使いやすい。
拡張機能の豊富さもGoogle Chromeの特徴の一つだろう。拡張機能というのはブラウザに追加の機能を持たせるアドオンのことで、例えば、KeepaというAmazonの価格トラッカーをダウンロードすると、Amazonで商品を閲覧している際に同じページの中で、その商品の価格推移を参照することができる。
自分がよく使う用途に特化した機能を追加でき、その種類が豊富であるというのは、何よりの強みであろう。
まとめると、Google Chromeの特徴は
- 使用率が高い
- とにかくGoogleアカウントがベースになっている
- 拡張機能が豊富
というところだろうか。
より技術的な話になるが、Google ChromeはChromium(クロミウム)というオープンソースプロジェクトがベースになっていて、ソースコードのほとんどはChromium由来のものである。
また、HTML描画エンジンにはBlinkが使用されている。これらの技術は次に紹介するMicrosoft Edgeにも共通する。
Microsoft Edge
Microsoftが開発したChromiumベースのブラウザ。先述した通り技術的にChromeと共通する点が多く、Microsoft版Chromeと言える存在。
Internet Explorerの後継ブラウザとしてWindows10に標準搭載されている(筆者が確認した限りではWindows11にも続投されている)。法人などによっては標準ブラウザしか使用してはいけないという規則があったりするようだが、Edgeの登場によってChromeと同じようにWebページを閲覧できるようになった(らしい)。
また、Windowsで使用するMicrosoftアカウントがあれば、ほかのPCやスマートフォンとの同期をとることも可能となる。
ChromeのホームではGoogleのWebアプリへのボタンが表示されていたが、EdgeではOffice 365へのアクセスボタンが表示されている。
また、デフォルトの検索エンジンがBingであるということも特徴的だ。これはMicrosoftが開発している検索エンジンで、SEO順位などがGoogle検索と違うことが使ってみるとわかる。より詳細な違いを知りたい人は以下の記事を読んでほしい。
最も特徴的なのは、IEモードが搭載されていることだろうか。Windows11ではInternet Explorerが標準搭載されていない。そのため、Edgeには「IEモード」というInternet Explorer互換の閲覧機能が搭載されている。このモードでは、「Trident MSHTMLエンジン」というIEのエンジンを使ってWebページを描画する。
IEでしか閲覧できないサイトもEdgeを使って見ることができるという訳だ。
このようにIEとの互換性を標準で謳っているブラウザは現状、Edgeしかない。Chromeでも拡張機能を追加すればIEモードのようなこともできるが、それでは手間だという人もいるだろう。何より、Edgeは標準搭載のブラウザなのだから。
まとめると、Microsoft Edgeは
- Microsoft版Chrome
- Windows標準搭載ブラウザ
- IEモードが使える
という感じだろう。
Vivaldi
これは聞いたことがあるという人が少ないかもしれない。Vivaldiはノルウェーの会社が開発したChromiumベースのブラウザだ。
このブラウザの特徴は何といってもUIのカスタマイズ性の高さであろう。
このブラウザの信念として、「ユーザーがブラウザに合わせるのではなく、ブラウザがユーザーに合わせるべき」とまで言い張っている。
例えば、タブバーの位置一つとっても上下左右自在に配置することができる。
また左側の設定項目の多さを見てほしい。他のブラウザでは滅多にないクイックコマンドやマウス操作、キーボード操作の項目まで存在する。
まさにユーザーに合わせた設定を行えるブラウザだと言えるだろう。
先述した通り、中身はChromiumベースでできていて、Google Chrome向けの拡張機能を利用することができる。
他にも、タブスタックと言って、複数のタブを同時に開いた際に、タブバーにカーソルをあわせるとそのタブのサムネイルが表示されてどのようなページかが一目でわかる機能。
他にも、左右で違うタブを分割表示させる機能など、ユニークな機能が多く搭載されている。
まとめると、
- Chromiumベース。ノルウェー産。
- 設定項目が多く、カスタマイズ幅が広い。
- 上級者向けかも
という感じだろうか。インターネットヘビーユーザーにはぜひ一度使ってみてほしいブラウザだ。
Mozilla Firefox
正直筆者はこのブラウザを紹介したいがためにこの記事を書いたまである。Mozilla Firefox。
Firefoxは上記三つのブラウザとは一線を画す存在だ。まず、ベースにChromiumを使っておらず、HTMLエンジンは独自のGeckoを、JavascriptエンジンにはSpiderMonkeyを採用している。また、開発元のMozillaは非営利団体であり、Firefoxのソースコードはオープンソース化されていて、透明性が担保されている。
FirefoxはChrome、Edgeなどとは少し異なり、完全に中立の立場をとったブラウザといえるだろう。その証拠に、フリーでオープン化されているプロジェクトの代表ともいえるLinuxのOS、Ubuntuの標準ブラウザにも選ばれている。
ユーザーのプライバシーを保護することを第一として設計されている。例えば既定でサードパーティトラッキング Cookie をブロックする設定がなされている(Google Chromeにこの機能はない)。
他にも標準保護であらゆるCookieをブロックして、ユーザーのデータが収集されることを防ぐ。Cookieの収集など気にしない人もいるだろうが、リチャード・ストールマンやエドワード・スノーデンなど、情報の世界のプロは個人情報の収集を過剰に気にする人も多い。彼らも無根拠に情報収集への対策を行っているわけではないだろう。あなたも少なからず標的になっているわけだから、気にかけても悪いことはない。
単にブラウザとして見た時にもFirefoxは優秀だ。独自エンジンで動作するおかげで、消費リソースはChromeよりも少ない。それでいて使用感はChromeに近く、いつもと同じ感覚でブラウジングすることができる。
Firefoxの拡張機能も非常に豊富である。ただ、Chromeと同じものが用意されているわけではない点については留意しておこう。当然だが、これらの拡張機能はFirefoxのポリシーに準拠している。
ちなみに、Firefoxは地味にタブバーの着せ替えが充実している。
ユーザーが作成するテーマが多く、流行りのコンテンツをテーマにしたものも多く存在するので、これらを適用するのも面白い。
まとめると、
- オープンソースでプライバシーが保たれたブラウザ。
- 非Chromiumベースで軽量化されている。
- 非営利団体によって開発されている。
というのがFirefoxの特徴だ。
まとめ
長々と4種類のブラウザを紹介したが、結局何が言いたいのかというと、「自分のインターネットライフに合わせたブラウザを使ってほしい」という事。
例えば、普段Edgeしか使ったことが無いけれども、Googleアカウントで作業することがが多いという人はぜひ一度Chromeをインストールして使ってみてほしい。それだけでも少し便利になる部分があると思う。
こんなこと考えたこともなかったという人も、ブラウザにはいくつかの選択肢があるという事だけでも知ってくれれば非常に嬉しい。
以上。
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